サイエンスZERO③~ミトコンドリアが多いと痩せる!生活習慣病とミトコンドリアの関係

NHK教育テレビ・サイエンスZEROで、ミトコンドリアと運動、さまざまな病気との関係について紹介されました。

生活習慣病にもミトコンドリアが関係している

前回の動画では、生き生きとしたミトコンドリアを保つことで老化や病気の原因になる活性酸素が出にくくなる、という内容をご説明しました。ここでは、ミトコンドリアと生活習慣病の関係についてご紹介します。

慶応義塾大学・医学部教授の伊藤裕さんは、ミトコンドリアがメタボリックシンドロームに深く関係していると考えています。

伊藤さんの研究室では、5年前(放送当時の)から、ミトコンドリアの量に注目した研究を行っています。

ミトコンドリアの量の違いによって体重の増加に差が出る

普通のマウスと、遺伝子を変えてミトコンドリアを増やしたマウス。それぞれにカロリーの高いエサを同じ量与え続けました。9週間の体重の変化です。

ミトコンドリアの多いマウスの方が体重の増加を抑えれられています。見た目も一目瞭然で、ミトコンドリアの多いマウスのほうが体が引き締まっています。

お腹についた脂肪も、ミトコンドリアの多いマウスは、内臓脂肪が普通のマウスの半分以下でした。

なぜこのような結果になったのか?

伊藤さんたちは、それぞれの血糖値を測定しました。↑これは、エサを食べた後の血糖値の変化を示したグラフです。ミトコンドリアの多いマウスの方が、早く糖を消費していることがわかりました!

糖をうまく消費できなくなる病気…

糖をうまく消費できなくなる病気、それが糖尿病です。糖尿病の患者の細胞には、普通の人よりもミトコンドリアの量が少ない、というデータもあります。

血糖を上げたり、インスリンの濃度が高まることでミトコンドリアの量が減ったり、機能が悪くなることが知られていますので、ミトコンドリアの機能と糖尿病は悪性サイクルの中でどんどん進んでいくのです。

続きはこちら→④糖尿病、がん、認知症など色々な病気の原因はミトコンドリアの機能にある

前の話はこちら→②消費カロリーはミトコンドリアが作ったエネルギーそのもの!

写真・キャプチャ元:サイエンスZERO/NHK

サイエンスZERO②~消費カロリーはミトコンドリアが作ったエネルギーそのもの!

NHK教育テレビ・サイエンスZEROで、ミトコンドリアと運動、さまざまな病気との関係について紹介されました。

ミトコンドリアが元気だと疲れにくい体になるんです!

前の動画では、運動をするとミトコンドリアが活性化するという内容が紹介されました。番組出演者の方たちが体を動かしながら「最近、運動不足なので心配になりましたね」等と話しています。

「実は、消費カロリーというのはミトコンドリアが作ったエネルギーそのものなんです」と日本ミトコンドリア学会会長で専門家の太田成男さん。

ですから、ミトコンドリアが元気だと、疲れにくい体になるわけです。すぐに息が上がってしまうとかそういう時は、ミトコンドリアが減っているのでしょう。

筋肉をつけるのが大事!

ミトコンドリアを増やすためには、少し強めの運動と弱めの運動を交互に組み合わせるのが一番良いと思います。筋肉が増えれば、ミトコンドリアも一緒に増えてくれます!

ミトコンドリアの機能が低下すると…?

ミトコンドリアの機能が低下するというのはただの体力不足ではなくて、実は深刻な問題もあるんです。(核を中心として、周りをミトコンドリアが囲んだ細胞の映像を説明)

60倍で早送りしていくと、核を囲むミトコンドリアの色が黄色からだんだんオレンジ、赤色へと変化していくのがわかります。

これは、ミトコンドリアから活性酸素という有害な物質がたくさん出ているのを撮影した様子です。活性酸素は、実はミトコンドリアで一番作られているのです。

つまり、こちらの映像の赤い部分は、ミトコンドリア自身が作り出している活性酸素がたまっている、ということになります。

活性酸素は、良いこともしている!

活性酸素は有害な物質だと説明がありましたが、悪いことだけではなく良いこともしているんです。

例えば免疫作用があったり、ガンから体を防御したり、血管を作ったりと、そういうことに役立っています。

ただし、活性酸素が増えすぎると…

ただし、特にミトコンドリアの機能が落ちることによって活性酸素が増えすぎてしまうと、それが病気の原因になってきます。(遺伝子を切りつけたり、ということが起こるそうです)

(ミトコンドリアが黄色から赤くなっていく)映像は、薬で人為的に活性酸素がたまるようにしていったものとのことですが、老化すると、同じような状態になります。

老化を防ぐためには…!

老化を防ぐためには、活性酸素があまり出ないように、たまらないようにするのがとても大事なんです。

生き生きとしたミトコンドリアを保っていることが老化に繋がらない、元気な身体を保つということなんですね。

ミトコンドリアの機能の低下が体にもたらす影響とは…?!

ここまでで、ミトコンドリアの状態とわたしたちの健康は本当に密接に関わっているということがわかりました。実は、ミトコンドリアの機能の低下が体にもたらす影響というのはこれだけではありません。

生活習慣病にもミトコンドリアが関係していることがわかってきたのです。

続きはこちら→③ミトコンドリアが多いと痩せる!生活習慣病とミトコンドリアの関係

前の話はこちら→①運動でミトコンドリアが増える?!

写真・キャプチャ元:サイエンスZERO/NHK

【動画】ほんまでっか!?TV ミトコンドリアと寿命のヒミツ

フジテレビ・ほんまでっか!?TVの過去回「寿命のヒミツ」で、ミトコンドリアの働きについて紹介されました。

https://youtu.be/eTulx33_sDU

こちらの番組内でミトコンドリア評論家として説明されているのは、日本で初めて細胞の免疫性に着目してがんを診断する「がん免疫ドッグ(イムノドッグ)」を開発した宇野克明医師。現在は医療法人社団東京MITクリニック理事長。がん、免疫治療に関するさまざまな著書・論文を発表されています。

ミトコンドリアとは!?

・ミトコンドリアは、人間の細胞の中に何千と存在する、エネルギーを作りだすパーツ

・体重の約1/10はミトコンドリアで、わたしたちの体の形を作っている

・状態が気に入ると非常に身体を大切にし長生きさせてくれるが、気に入らないとどんどん細胞を壊すというまるで女王様のような性質を持っている

ミトコンドリアの役割

①電子でエネルギーを作り出す

②不要な細胞を壊す命令を出す

問題なのは・・・

ミトコンドリアが弱まると、不要な細胞を壊せない。(体から悪い細胞を排除できない!)

動画の最後に明石家さんまさんがサラッととても重要なことを言っています。「ミトコンドリア次第ということですね」と。ミトコンドリアに元気があればわたしたちも健康長寿でいられるのですね。

動画・写真・キャプチャ元:ほんまでっか!?TV/フジテレビ

こんなに違う!健康体と糖尿病のミトコンドリア

体内のエネルギーの90%以上を作り出すミトコンドリア。このミトコンドリアの機能が弱くなることが、インスリンの抵抗性やインスリン分泌不全、肥満の状態に深く関わってくることが研究により明らかになってきました。

健康な人と糖尿病の人のミトコンドリア量の差

ミトコンドリアの機能が低下し活性酸素が過剰に生み出された状態は、糖尿病のリスクが高まると言われています。良質で健康なミトコンドリアによりエネルギーの代謝効率が上がると、血糖値が低下します。

糖尿病とミトコンドリアの関係については、こちらのページでわかりやすく知ることができます。

データ参考:diabetesジャーナル(2005.54巻)より

https://diabetesjournals.org/diabetes/article/54/1/8/14686/Deficiency-of-Subsarcolemmal-Mitochondria-in