免疫系は、体内に侵入する異物や細菌、ウイルス、がん細胞などを攻撃するための防御システムです。ミトコンドリアは、細胞内のエネルギー生産を担っていて、細胞の代謝機能にも大きく関わっています。
ミトコンドリアの機能低下が免疫力低下に関連することが示唆されています。ミトコンドリアの機能が低下すると、細胞内の酸化ストレスが増加し、細胞死が促進されるため、免疫系の細胞も死滅してしまう可能性があります。
また、ミトコンドリアの機能低下によって、細胞内のATP(アデノシン三リン酸:生命活動に必要なエネルギーを供給するために重要な役割を持つ分子)が不足することがあり、これによって免疫系の細胞が正常に働けなくなることがあると考えられています。
一方で、ミトコンドリアには細胞のエネルギー代謝に関与するとともに、免疫系の働きを制御する役割もあることが明らかになっています。
最近の研究では、ミトコンドリアが免疫系による細胞死を抑制するために、一種のプログラム細胞死であるピロプトーシスを制御することが示唆されています。
このことから、ミトコンドリアは免疫系の正常な機能を維持する上でも重要な役割を果たしていることが暗示されています。